売買契約締結

2010年12月26日

ついに週末。この1週間は会社にいても物件の事ばかり考えてまともに仕事もしなかったななどと考えつつ、新幹線に。

名古屋到着後、契約締結会場?の不動産屋のオフィスへ。

今日の私のいでたちは黒ぶちめがねに紺のスーツ。『いかにもまじめなサラリーマンがなけなしの金をはたいて大勝負に出てます。』イメージで迫る事にしました。実際にそうですが。

決して偉そうにしない。低姿勢で『売っていただく』のだと言い聞かせて不動産屋のドアを開けた。当方一人に対して売主さん側は2名。売主さん本人はやはりおじいさん。でもしっかりしてそうな方でした。あと一人は売主さんの娘婿で不動産取引に詳しい方のよう。

お決まりのご挨拶の後、用意してきたお土産ミサイルをいきなり発射。先方はお土産など用意してないから当惑気味、年配の方だけに恐縮至極という感じ、先手必勝です。『銀行が重視するサラリーマンの見識ってこんな事?』などと一人ごちて契約の儀式に入ります。

不動産屋さんが厳粛な面持ちで契約書と重要事項説明書の朗読に入ります。私も手元の原本を一字一字追っていきます。全ページを読んでいくので結構疲れます。

朗読儀式も済み、いよいよ契約書への署名捺印という段階になって、おじいさんが件の瑕疵担保について『現状有姿でお願いしたい』と天地返しの一言。

一座に沈黙が流れ不動産屋さんが私に救いを求める視線を投げかける。私は彼の視線を冷たくカットし、窓の外へ目を移した。

さあどうなる。さすが熟練の不動産屋さん。『やあ』とも『はい』ともつかないうめき声と、不思議な笑顔を浮かべておじいさんの目の前に契約書をしずしすと差出し、『こちらに署名と捺印を』と何事もなかった攻撃に出たのでした。

再び一瞬空気が凍り、でもおじいさんの手はペンを握ってご自分の名前を書き始めたのでした。

それにしてもさすが1件の契約で何百万も稼ぐ業界の猛者です。不動産屋さんの居あい抜きのような一瞬に賭ける技に感心しきりでした。

契約終了後はもう一回物件を見に行きました、これが融資実行になれば晴れて自分のものになるのかとまぶしいものでも見るような顔で見上げました。

でも最後に残る銀行の最終審査は、その間に冷たく立ちはだかる黒い壁のようにそびえていたのでした。


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